なんで「青春」って「青」と「春」なの?
こんにちは。
大阪天満橋でひっそり活動中のキーラキアーラです。
当店の人気NO.1コンテンツは、50種類以上の花材を自由に組み合わせてお楽しみいただけるハーバリウム制作ワークショップなのですが、とりゐ味噌さんで開催させていただいた特別展示の準備中、青色のハーバリウムを眺めていて、ふと疑問がわきました。
「いったいどうして『青い春』って書いて、人生において若者に分類される期間のことを示すんだろう?」
気になることがあれば、調べ学習をしてみましょうと教えてくれた、小学生時代の恩師に感謝しつつ、今回は「青春」という言葉についてのブログを書いてみようと思います。
とりあえず辞書で「青春」と引いてみる
言葉について知りたいなら、まずは辞書ですよね。
もう10年以上愛用している電子辞書に入っているデジタル大辞泉によると、青春という言葉は「1⃣夢や希望に満ち活力のみなぎる若い時代を、人生の春にたとえたもの。青年時代」、「2⃣春、陽春」のことを意味して、その由来は《五行説で青は春の色であるところから》だとのこと。
ついでにプログレッシブ和英中時点でも英語の「青春」と引いてみたところ、出てきたのは「one’s youth: youthfulness」と、若さに着目した単語が出てくるのみで、五行説に由来するっていう青色の要素は見当たりませんでした。
どうせなのでイタリア語でも調べてみようと、和伊辞典も引いたのですが、出てきたのはやっぱり「若さ」を意味する「giovinezza」と、それからもうちょっと詩的な感じで「primavera della vita(人生の春)」が出てきました。
洋の東西を問わず、やっぱり春って若々しさを感じさせるんですね。
このブログを書いている2020年4月現在、当店キーラキアーラはコロナウイルスの感染拡大防止のため、自宅勤務をしている関係で、ちょうど手元にあった古語辞典も引いてみましたが、さすがに「青春」は載っていませんでした。
じゃあせめて、古典的な意味での「青」ってどんな意味なのか調べてみたところ、「あお」ではなく「あを」という項目で「1⃣青・緑・黄緑などの総称。装束の色では、黄みどり系の色をいう」、「2⃣特に今の、アオ。ブルー」と出てきて、そういえば国語の先生がそんなことをおっしゃっていたなぁと懐かしくなりました。
五行ってなんだか
よく分からないので
常用国語便覧で調べてみる
文学や歴史が好きだと、陰陽五行説についてはなんとな~く分かったような気になっちゃうものですが、改めて「五行ってなに?」と疑問を抱いてしまうと、やっぱりよく分かっていないことが判明しがちですよね。
私もよく分からなかったので、ついでに捨てずにとっておいた高校時代の常用国語便覧を引っ張り出してきました。
漢代の思想という項目にあった解説によると、陰陽五行説というのは「世の中のモノはすべて陰と陽+五行というカテゴリーに分けられるという説で、季節や色をこの基準で分類したとき、今回の話題になっている「春」や「青」といった要素は、同じ「木」の仲間になるということでした。
中国の思想なのかぁということで、本棚で埃をかぶっていた大学書林の中国語小辞典も引いてみたのですが、中国語でも青春は「青春」って書くうえに、単に「青」と調べただけで「3⃣春」「7⃣若い.若者,青年」という解説が見つかりました。本当にしっかり根付いているんですね。
なんで青春だけ
「青春」っていう単語になったの?
ここで残る疑問は、五行に基づいた色と季節の組み合わせはほかにもあるのに、どうして「青春」だけが「若い時代」という意味で一般的に使われるようになったかですよね。
ちなみに「青春」のほかにも、言葉だけは「朱夏(しゅか)」「白秋(はくしゅう)」「玄冬(げんとう)」と存在しています。
このうち「白秋」だけは、詩人の北原白秋のペンネームから聞き覚えがある人が多いと思います。童謡「あめふり」の「あめあめふれふれ かあさんが じゃのめでおむかえ うれしいな」を作詞した詩人です。
でも、これは個人のお名前なので話が違いますし、今は置いておきましょう。
ここでもう一度、今度は「青」という単語を辞書で引いてみると、色を表す名詞のほかに、単語の頭にくっ付いて+αの意味を加える接尾辞としての「青」が紹介されています。
挙げられている例をみると、たとえば「青二才(経験の浅い年若いひと)」や「青くさい(人格や言動が未熟なこと)」などが挙げられています。
つまり「青」って「成熟していない」っていうイメージを持っているわけですね。
若くてエネルギーに満ちているけれど、経験不足でいろいろと未熟なところがあって、なんだかもどかしい時期……青春ですねぇ。
ちなみに「青春小説」って英語でなんていうのかなって思って、これはネットで検索してみたのですが、日本語版のウィキペディアの「青春小説」の項目から、英語版にジャンプすると出てくる表現は「Coming-of-age story(一人前になる頃の物語)」でした。
映画の世界だとティーン向けのものをComing-of-age storyっていうようで、挙げられている作品の中には「千と千尋の神隠し」や「ハリー・ポッター」シリーズなども挙げられていたので、年齢というよりも、成長の中でもがく時期のことを「青春」とするのが、現在の最も自然な解釈なのではないでしょうか。
青春についてのまとめ
青春という言葉は、中国に発祥した「世の中のものは5つのグループに分けられるよ」という五行思想のなかで、同じ「木」のグループに入った「青色」と「春」の組み合わせから生まれ、未熟さを感じさせる青という色や、成長を感じさせる春という季節に象徴されるような、人間の成長期を表すときに使われいます。
この記事を読み切られたということは、もしかして色とりどりの花がお好きなのではないでしょうか?
当店キーラキアーラは、本物の植物を使ったクラフトアートとしてのハーバリウムを、老若男女を問わずより多くの方々に楽しんでいただきたいと考えております。
2020年5月現在、当店キーラキアーラは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、すべてのワークショップの開催を休止しておりますが、初心者の方にもオススメのハーバリウム制作キットを、数量限定・通信販売でご用意しております。
このキットひとつで、プリザーブドフラワーや専用オイルなどの資材から、ボトルのなかでの作業にぴったりのピンセットまで、ハーバリウムの制作に必要な物資をすべて入手していただくことができます。
皆さまが心晴れやかに「おうち時間」を過ごす、お手伝いをできましたら幸いです!
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